研究紹介

磁石中の”カエルの合唱”を発見! – スピン波を介した動的な協力現象

academist Journal に研究コラムが掲載 日常で聞くことは珍しくなりましたが、カエルは春になると他の仲間と鳴き交わす行動をとることが知られています。ホタルの集団も一斉に明滅を繰り返すことが知られています。このようなカエルの合唱やホタルの集団発光のように、集団全体で同じ行動をとる現象は協力現象と呼ばれ、世界中に多く存在しています。カエルは声で、ホタルは光で、他の仲間と協力していると考えられます。 実は磁石も同様に協力現象の産物です。磁石を構成する元素の一部は、それぞれがスピンと呼ばれる小さな磁石を持っています。磁石で遊んだ経験はあるでしょうか? 2つの磁石を近づけると、それらは同じ方向や逆方向に揃おうとします。それと同じように、磁石中の元素も、隣同士など近距離…
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磁石中の『カエルの合唱』の観測に成功 ― 量子コンピュータ開発や熱光エネルギー変換に向けて ―

ErFeO3(エルビウムオルソフェライト)という磁石の中で、Er(エルビウム)元素が隣のEr元素にだけ『声』が届く『伝言ゲーム』をするのではなく、遠くのEr元素にまで『声』が届くことで『合唱』することを世界で初めて観測 Erが発する『声』の周波数を、『声』を伝えるFe(鉄)元素の周波数に一致させようとすると、2つの周波数が反発し合うことを発見 『合唱』の証拠として、反発の大きさがEr密度の平方根に比例することを確認 今後、量子コンピュータ実用化のためのノイズ抑制技術や熱から光へのエネルギー変換技術の開発を目指す Full text PDF版 大阪大学ResOU 日本の研究.com Original article X. Li, M. Bamba, N. Yuan, Q. …
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強は異なり: 電磁場の相転移と熱平衡下の量子もつれ

日本物理学会誌に解説が掲載 「多は異なり(More is Different)」という一言にあるように, 凝縮系物理学では, 粒子が多数いることで初めてあらわれる現象が本質的である. これになぞらえると, 光科学研究での「異」は, 共振器や非線形光学物質などを用いて, 高強度, 短パルス, 狭線幅, 広帯域などの「電磁波の性質」を高く制御し, その電磁波を物質に照射するなどして, 本質的に異なった現象の観測・発現・制御を探究することにある. 近年, この光科学研究から発展し, 電磁場が振動しない熱平衡下において, 電磁場の相転移や量子もつれを発現させることが, 新たな「異」として模索されている. そのための方策として, 超強結合(ultra-strong coupling…
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光と電子の逆時空間での接触・反発の観測に成功 ― 量子コンピュータのノイズ問題解消への新展開 ―

私たちが普段目にするのとは逆の時空間における光と電子の接触と反発を観測 微小な炭素の筒(カーボンナノチューブ)を綺麗に敷き詰め、光を鏡で閉じ込めることで観測可能に 今回の観測を発展させることで、ノイズの影響を受けない光の粒を制御する技術を開発することができ、量子コンピュータなどの実用化のために不可避なノイズ問題に対する、新たな解消法の確立につながる Full text PDF版 科学技術振興機構(JST)共同発表 日本の研究.com Original article Weilu Gao, Xinwei Li, Motoaki Bamba, and Junichiro Kono Continuous transition between weak and ultra-str…
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磁場中で逆回転する電子と電磁波の一体化を実証 ― 量子コンピュータのノイズ問題解消への新展開 ―

互いに逆に回転する電子と電磁波が一体となって回転することを実証 これまで一体化の影響は小さく無視できるものだったが、電子と電磁波を非常に高く協同させることで可能に 逆回転する電子と電磁波の一体化によってノイズの影響を受けない光の粒を作り出すことができ、量子コンピュータなどの実用化のために不可避なノイズ問題に対する、全く新しい解消法の確立につながる Full text PDF版 科学技術振興機構(JST)共同発表 日本の研究.com Original article Xinwei Li, Motoaki Bamba, Qi Zhang, Saeed Fallahi, Geoff C. Gardner, Weilu Gao, Minhan Lou, Katsumasa Yos…
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超放射相転移を示す物理系の探索

Abstract 光が物質によって屈折や反射するのと同じ原理に基づいて,ある温度を下回ると.光を構成する電場や磁場がどこからともなく現れたりする.この現象は超放射相転移と呼ばれ,40年以上前に提唱されたが,いまだ観測されたことのない幻の現象である.本研究では,超伝導物質で構成された回路であれば,超放射相転移の類似物を人工的に起こせることを理論的に発見した.本研究を推進していくことで,将来的に,熱から光への画期的なエネルギー変換技術などの開発を目指している. Full text 馬場 基彰 「超放射相転移を示す物理系の探索」 光科学技術研究振興財団 平成29年度研究表彰受賞講演抄録, pp. 4 – 7, 2018年2月 超放射相転移についての解説.光科学技術研…
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光と物質の超強結合:光子を量子とみなせるか?

『パリティ』誌に解説が掲載 光の粒子である「光子」のダイナミクスから,本来の「電場と磁場」の量子論に立ち戻る.量子光学や量子情報技術が,その必要に迫られつつある.他の研究分野を巻き込みながら,未知なる科学技術が探索され始めている. Full text 馬場基彰 「光と物質の超強結合:光子を量子とみなせるか?」 パリティ, Vo. 32, No. 11, pp. 35 – 40 (2017年11月号, 丸善出版)

光と物質の超強結合は電磁場と電荷を相転移させるか?

『固体物理』誌に解説が掲載 光と物質の超強結合によって,熱平衡下で静電磁場が自発的に生じることが1970年頃に指摘された.いまだ観測の報告がないこの超放射相転移と呼ばれる相転移は,当初想定された原子系では期待できないものの,最近になって,超伝導回路中の永久電流を静電磁場に見立てれば,類似の相転移を起こせることが理論的に見出された. Full text 馬場基彰 「光と物質の超強結合は電磁場と電荷を相転移させるか?」 固体物理, Vo. 52, No. 9, pp. 459-476 (2017年9月号, アグネ技術センター)